僕が愛しているのは義弟
三学期。
二月に入った、ある日。
今日は、やけに女子たちが少しそわそわしているように見えた。
それもそのはず。
今日は、二月十四日、バレンタインデー。
しかし、そわそわしているのは女子たちだけではなかった。
「なあなあ、隼翔、隼翔。今日は何の日か、わかってるよな」
太一だ。
「ああ」
「わかってるのになんでお前は、そんなにも落ち着いてるんだよ」
「なんでって……別に……」
「そうだよな、お前は毎年、結構もらってるもんな。だから何の心配もしてないよな」
「……心配って……」
「……でも、そんなお前も今回はわからないぞ。なぜなら今年からは強力なモテ男がいるからな。お前も今回から覚悟しておかなければいけないかもな」
「……何の覚悟だよ」