僕が愛しているのは義弟



 三学期。


 二月に入った、ある日。


 今日は、やけに女子たちが少しそわそわしているように見えた。

 それもそのはず。

 今日は、二月十四日、バレンタインデー。


 しかし、そわそわしているのは女子たちだけではなかった。


「なあなあ、隼翔、隼翔。今日は何の日か、わかってるよな」


 太一だ。


「ああ」


「わかってるのになんでお前は、そんなにも落ち着いてるんだよ」


「なんでって……別に……」


「そうだよな、お前は毎年、結構もらってるもんな。だから何の心配もしてないよな」


「……心配って……」


「……でも、そんなお前も今回はわからないぞ。なぜなら今年からは強力なモテ男がいるからな。お前も今回から覚悟しておかなければいけないかもな」


「……何の覚悟だよ」


< 238 / 354 >

この作品をシェア

pagetop