未明の三日月

美咲自身は、目標があって 勉強をしていたわけではない。

結果として 成績が良かっただけだから、祖父の期待は 少し負担だった。
 


2才上の姉は 美人で、3才下の弟は スポーツ万能だった。

美咲が 姉弟の中で 優れているものは 成績だけだから。

だからやっぱり頑張ってしまう。


家族の中で 美咲の存在価値は 成績が良いことだったから。
 


でも美咲は、そんな事で目立ちたくなかった。

中学では 成績が良いだけで 特別扱いされる。



試験の話しで 盛り上がっている女子の輪に入って、

「どうしたの?」と美咲が聞くと、
 
「美咲には関係ないよ。成績良いから。」と拒まれる。
 
「そんなことないよ。」と言っても
 
「美咲は私達とレベルが違うから。」と言われてしまう。



美咲は 寂しく笑って その場を立ち去る。




そんな中学時代だった。




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