愛溺〜番外編集〜




「愛佳の嫌がることは絶対にしないよ」


はっきりとそう言い切った涼介を信じて、彼のそばに寄る。

ピタリと寄り添えば、満足そうに笑った。



「ん、良い子」


涼介に肩を抱き寄せられ、頭を撫でられる。

子供扱いされている気がするけれど、嫌な気はしないため大人しく受け入れた。



涼介との時間が極端に減った今、一緒に過ごせる時間が貴重なものに変わっていた。

だからこの時間も無駄にはしたくない。



「最近はどう?
お母さんと、上手く過ごせてる?」

「うん、過ごせてるよ。
最初より会話も増えてるかな」

「…そっか」


正直不安もあったけれど、上手く過ごせているのなら良かった。


この選択を取ったことに悔いはない。

涼介も過去のトラウマは薄れてきているようだし、このまま良い親子関係を築けることを願いたい。



「でも、やっぱり愛佳がいないと寂しいな」 
「…っ」


涼介が私の制服のリボンを解いてきた。
“甘いこと”が始まる合図で。

前触れのキスすらなく、あまりにも突然で戸惑ってしまう。


「ま、待って…」
「待たないよ。たくさんかわいがってあげるからね」

「な、何か今日早い!」
「早いって?」

「……ひゃっ」


涼介が私の耳を弄ぶ。
甘噛みしたり、舌を這ったり。

焦る私のスイッチを入れようとしてくるのだ。


「鳴かないの?」

求める声に首を横に振る。
恥ずかしい、胸の高鳴りが止まなくておかしくなりそう。


「……やだ」


だんだんと思考が鈍くなる。
徐々に涼介に侵されていく。

ここまで来たら抵抗なんてものはできない。
スイッチを入れられた私は、もう涼介の思い通り。



何度も何度も繰り返していくうちに、もう学習した。

あとは涼介が手を止めるまで好き勝手にされる。
今日はどこまで彼の手に狂わされるのだろう。


「愛佳が乱れていいのは俺の前だけだよ」
「……ん」


今日はやけに強引で。
本気で甘さに溶けてしまいそうだと思った。


けれどその理由はわからないまま、甘い時間だけが流れていた。


< 19 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop