愛溺〜番外編集〜

救いの手





天帝の話を聞いて一週間ほど経ったある日。


「涼介、早く行くよ。
次の電車が来るまでに乗れるかな」

「そんなに急がなくても間に合うと思うよ」
「でも乗り遅れたら着くの遅くなるでしょ」


今日は学校帰りに涼介と出かける予定になっていた。

さらに明日は休日のため、そのまま私の家で涼介も泊まるのだ。


「今日は夜まで一緒にいられるし、焦らなくて大丈夫だよ」

「今回は出かけるのがメインなの!」


いわゆる制服デートというものだ。
高校生の間にしかできないことを、今のうちにしておきたい。



「うん、そうだね」

「だから早く行くよ!
この電車逃したら遅くなるんだから」


今日は私が先を歩く。
なんだか私だけが浮かれているみたいだ。



目的地に着いてからも、私の行きたいところに涼介は何一つ文句言わずに着いてきてくれた。


「涼介は行きたいところ、ないの?」
「俺の行きたいところ?んー、そうだな…」


本当になかったようで、考え込んでしまう。
けれど私の行きたいところばかり連れ回して、さすがに申し訳ない。


「せっかくだし涼介の服も見よう」


結局私が次の行き先を決めてしまったため、意味がない気がするけれど。

涼介を連れて男性の服がメインの店にやってきた。

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