恋泥棒の犯行予告

「なによ」

「別に何も。ほら、手止まってる」


丸裸になったジャガイモを切って、鍋の中に転がす。

具材をすべて切り終えて煮込み始めると、部屋中に良いにおいが充満してくる。


「…………」


何を話すでもなく、2人で鍋の中を覗き続ける。

時折灰汁を取るために体を動かすと、はずみで六花の肩と触れた。

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