永世中立でいたいんだけど、そうさせないのが君たちだよね 〜龍になっております〜
「大丈夫だよ」
何が大丈夫なのかさっぱりだ。あの子たち全員が忘れっぽかったなら話は別なのだが。クロウは少しもじもじした後
「結界魔法でここ一帯を囲んだんだ。ホントだよ!これで安全なんだよ」
私は驚いた。私もクロウと一緒にいる時間に教科書らしき本をそれっぽく読んでいたが結界魔法はものすごい力を消費する。クロウのような子どもが使えば誤って死んでしまう可能性だってあると書いてあった。
「そんな危ない魔法…どうして…」
クロウは私の目を見据えて
「アランを守るのは俺だから」
なにが1番弱虫だ。こんなにも逞しく心優しい子ではないか。隣で切り株に座りながら笑うクロウを見て
私は知らぬ間に涙を流していた。
「ダメだよ泣いちゃ!」
クロウに言われてはっとした私は急いで涙を拭いた。クロウは
「純白の龍族の涙は空気に触れると特殊な龍族の鱗みたいな物質じゃない限り触れた物を黄金に変えてしまうんだ。」
と教えてくれた。既に涙に当たった肘置きがわりの大岩は黄金になってしまっていた。
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