春の雪。喪主する君と 二人だけの弔問客

ルーツ巡る旅のきっかけ

ルイは 電話を取り出して、何かを開き始めた。

「ねぇ ルイ、 あんまり電話 、使うと、充電、 困るんじゃないの?」

毛布に御包まって、仰向けで電話を触る ルイに シオンは、言う。

「車で、充電するって。」

そう ルイが、返事をしたな、と思った時、

『カシャッ』

っと、シャッター音がした。

いつの間にか、ルイの手元から 電話のレンズが、 シオンに掲げられている。それを見た シオンは、慌てて、

「どーして、撮る?! スッピンなんだって。消してよ!!、だいたい、 暗いのに、何か映ってたら、どーすんの!」

サイテーだ、なんだと、シオンが喚くのを 往なしながら、ルイが 画面を確認したのだろう。忌々しそうに言った。

「後ろに、超絶、鬱陶しー顔のんが、映りやがった。」

そう 言いながらも、また 電話を弄っている。シオンは、そんなルイの足をガシガシ蹴りまくった。


「シオン。」

と レンが 口を弓なりにして、シオンを呼ぶのが 聞こえた。

「さっき言った、ルーツの旅。シオンの叔母さんが、欲しがったモノ、あったのか?」

レンの顔から、不機嫌さを 感じ包も、レンの問いに、

『旅のきっかけ』を すっかり 忘れていたと、
シオンも思い出す。

「そうだっ。本当に、旅行に出ようって、なった『ママの幻のお饅頭』だよね。」

レンが、そうだと 頷く。ルイも、黙っているが、しっかり 耳は聴いているのだろう。

「結論から 言うとね、残念だけど、無理だった。もうね、作れないんだって。」

そう応えて、シオンは レンとルイに 『幻の菓子』を話始めた。

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