転生令嬢の悪役回避術ー心を入れ替え女王になりましたー
その後も気を取り直して屋敷の部屋を見て回った。

見られる限りすべての部屋を見て回ったアイリーンたちは終わるころには少し疲れていた。

もうすぐ、食事の時間になるため、それまでの間は自分の部屋で休むことになった。

アイリーンはリンネに手伝ってもらい、細身のドレスからイブニングドレスに着替えをし、冷たい紅茶を飲んでいた。

ヴァルテリやハイメはジャケットを脱ぎ、寛いでいた。

サクラも侍女に手伝ってもらい、イブニングドレスに着替え、髪をハーフアップに結いなおした。

そして食事の用意ができたと侍女や侍従から言われると、ヴァルテリとハイメはジャケットを着なおし、晩餐室へ向かった。

前菜のサラダから出され、アイリーンたちは食べ進めていった。

今日のメインディッシュは肉を細かくした後に丸くまとめられたハンバーグのようなものだった。

アイリーンとヴァルテリのハンバーグはそのままつなぎ以外はすべて肉という食べ応えのあるものだったが、サクラとハイメのものは食べやすいように豆腐のようなものが混ぜられたハンバーグになっていた。

おいちーと頬を手で押さえながら食べ進めるサクラとハイメの姿を見て、アイリーンとヴァルテリは微笑ましい気分になった。

そして最後のデザートになり、サクラとハイメは目を輝かせた。

目を輝かせた理由は、今日のデザートがベリーのムースであったからだ。

サクラは３歳ながら、ベリーの酸味を好みとしており、ハイメはムースのようなふわっとした舌触りのデザートを好んでいたからだ。

後から聞いた話、今日のデザートは事前にサクラとハイメの好みを聞いていた別荘の菓子職人が腕によりをかけて作成したものだった。

あまりに美味しそうにベリーのムースを食べる姿を見て、アイリーンとヴァルテリは自分たちのムースもサクラとハイメにあげたのだが、ふたりはそれさえも完食してしまった。

「ごちとーさま！
おいちかった！」

口を拭き終えたハイメが真っ先に言った言葉はそれだった。

アイリーンたちも口を拭き、何言か会話を交わしたのち、晩餐室を後にした。
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