未来は霧のなか

美佐子は 

『浩子もおいでよ』

と言ったけれど。



それは 会話の流れで。

私が 行かないことを、美佐子は知っている。


私は夜 家を抜け出すことも 外泊することもできないから。
 


私は 美佐子と過ごす時間だけが好きだった。


美佐子の地元で 美佐子と同じことを する気はなかった。
 


「『ロイヤル』の中では お酒を飲んでいる人もいたし 大麻をやっている人もいたみたい。美佐子が どこまでやっていたかで 処分が決まるよね。」


輝美のお姉ちゃんは、私達よりも 詳しく知っていた。
 

「浩子達も しばらく外で煙草吸うの、控えた方がいいよ。」

煙草を吸っている私に あゆみが言う。

千恵も時々 煙草を吸う。


私と千恵は 顔を見合わせて頷いた。
 

「ここも ヤバいかな。」

店の中を見回して 私が言うと
 

「念のため しばらくは ここにも 来ない方がいいかも。ほとぼりが冷めるまで。誰が見ているか わからないから。」

と典子に言われて、私は頷く。
 


美佐子が今、どんな状況なのか。

美佐子から、連絡がないからわからない。


美佐子が 退学になったとしたら。


でも私達の、変わらない毎日は続くだろう。



つまらない毎日になるけれど。


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