未来は霧のなか

「それじゃ 次の土曜日の予定 考えようよ。」

と言って亮太は テーブルの上の 私の手を握った。
 
少しずつ増えていく スキンシップ。

まだ 手を握るだけでも。


最近亮太は、歩く時は必ず手を繋ぐ。

亮太が触れることで、私は素直になっていく。


亮太は、そのことに 気付いていないけれど。
 



「そろそろ、期末テストだよ。リョウ、勉強しなくて大丈夫?」

私が言うと
 
「期末か。ヤバいね。ヒロは 大丈夫なの。」

と亮太は苦笑する。
 
「私も。大丈夫なわけ、ないでしょう。」

私が言うと亮太は、
 

「明日から、図書館で勉強するか。」

と私を見る。


図書館という響きに、私の胸は 大きく乱れる。

あまりにも健全で。

明るくて。



美佐子との距離が、遠すぎて。
 


「いいね。化学、教えてよ。」

私は、私らしく。

亮太と過ごす、健康的な時間に 身を任せるべきだと 強く思う。
 
「任せろ。俺、理系だから。」

得意気に言う亮太の笑顔に、私の胸は熱くなった。
 
 


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