上司は優しい幼なじみ

「この部分に、動画を入れる予定です。女性の一人暮らしの部屋を演出して、生活しているワンシーンを挿し込み、各商品の使用イメージを消費者に持たせていきます。そのために’一人暮らしの女性役’が必要なのだが…岡田さん、君に頼もうと思っている」

その言葉に、その場にいた人間の目線が一気に私に集まった。

「…へ？」

今、なんて言った？

理解できず言葉が何も出ない。

---女性の一人暮らしの部屋を演出
---生活しているワンシーン

…私、動画に出演するってこと！！？？

全てを悟り、大きな音を立てて立ち上がる。

「むむむ無理ですよ！！私にそんな女優みたいなことはできません…！！！」

「そんな大げさなことじゃないよ。極力顔は映さない方向でやっていくから」

いやいやそういう問題では…！

おどおどする私をよそに、みんな「すごーい」やら「おめでとう」やら言葉を投げかけてくる。

なにもおめでたくない！！！そう叫びたい一心だった。