年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 焦燥にかられながら消火作業に加わろうとして、反対側から流れてくる煙に気付く。
「何故、炎上の激しいこちらと反対から煙が上がっている!?」
 声を張るも、俺のこの問いかけにも明確に答えられる者はいなかった。
 俺は即座に駆け出していた。
「セラヴィン様!?」
 近衛隊長も俺の背中に続いた。
「これは……!!」
 反対側に回り込み、地面に散るそれらを目にした瞬間、俺は全てを理解した。
「リリア待っていろ、直ぐに行く!!」
 割れた明り取りの窓。黒い煙はそこからもうもうと上がっていた。
 そうして周囲の地面には、ガラス片が散乱していた。そのガラス片の中に、鈍色と共に一際輝くブルーグリーンはあった――!
「セラヴィン様!? 中にリリア様がおられるのですか!? ならば私がまいります!!」
 俺は燃え盛る業火に飛び込む事に、寸分の躊躇もなかった。
 ただし、その場で取れる万全の対策は怠らなかった。自分が行くと言って聞かない近衛隊長から、奪うようにしてマントを剥がすと、自身と共に水で濡らす。
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