溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。

でも、朔くんと過ごす時間が、今の私の唯一の気持ちのよりどころなんだ。


だって……あれからずっと、私に対する嫌がらせが続いているから。


手を洗っていたら、隣の水道を使っていた子が蛇口を上向きにしたまま勢いよく水を出して私に掛かったり。


廊下ですれ違うとき、肩を思い切りぶつけられたり。


それも、真希ちゃんや蘭子ちゃんと一緒にいるときはなくて、ひとりのときに限って。


そんなことが続けば、私だってただの不運だなんて思わない。


無言電話だってそうだし、帰り道に、誰かにあとをつけられているような気もするんだ。


きっと、ファンクラブの人たちが、示し合わせて私に嫌がらせをしてるんだと思う。



「最近顔が暗いよ？　何か悩み事？」


授業を終えてぼーっとしていると、真希ちゃんが私の肩をポンとたたいた。


「へ？　な、何もないよっ」


振り向いて、にこりと笑顔を作る。


そうすれば、見破られることなんてない。