溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。

「ずっと勘違いしててごめんねっ……」


女の子に間違えられるのがイヤだったはずなのに、私だって10年間も女の子だと思ってて……。


「いいよ。10年間も、忘れないでいてくれてありがとう」


優しい朔くんの声。


「これからも、俺にはずっと小春だけ」


嬉しい言葉に、胸がきゅんとして止まらない。


「うん……私も」


そう返せば、嬉しいよって言ってくれているかのように、きつく抱きしめられた。


私、いまとっても幸せ。


"朔くん"が私の隣にいてくれるだけでいい。


それだけで……。



「じゃあ……屋台でも、見に行く?」


ゆっくり私の体を離した朔くんが、そう言って微笑む。


「うんっ」



目の前に伸ばされた手。


私はその大きな手を、ぎゅっと握り返した。






*END*

< 325 / 326 >

この作品をシェア

pagetop