溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
──翌日。


香織さんは午前中の新幹線に乗るらしく、私たちが起きたころにはすっかり出かける準備が整っていた。


それを見て、いよいよふたりきりの生活がリアルに思えてきた。


ということは、明日から永瀬くんを起こすのは誰……?


ブルルルルン。


考えるのはやめよう。首をふって、意識をここに戻す。


「当面の生活費はこのお財布に入れてあるから使ってね。小春ちゃんのおうちからも生活費を預かってるんだから、ここのお金は遠慮なくつかっていいのよ」


「はい」


「夕飯は適当に買ったり、デリバリーを頼んでもいいし。食べることだけはしっかりしてね」


「料理は得意なんて任せてください。あと、家事も自信ないですけど、頑張ります!」


「まあ、なんて頼もしいの! 朔、小春ちゃんばっかりにやらせないで、アナタも手伝いなさいよ」


「わかってるって」


「じゃあ、仲良くやってね! また連絡するから」


そう言うと、香織さんは慌ただしく出かけてしまった。
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