トッキーチャックGOGO
私とTCの事情
私とトッキーチャックの話をしよう。


私はヒーローではない。



彼らに遭ったのは、偶然だった。


まず、シイナ。
彼は今とは違う店で、居酒屋の店長として働いていた。
私はその店に来店した客だった。
彼に接客してもらっている時に、奇妙な事に気がついた。
匂い。

なんの匂いだろう。
彼から香る匂いは、臭いだった。
腐臭。
うっすらだが、心地がいいものではなかった。そうしていると、注文した皿を置いた彼の手から何かが落ちた。
小指だった。

それに気づいた彼は、それをサッと拾うとポケットに仕舞うと一言、
「すみません、腐ってました」
と笑ってた。

それから、何十分か食事をしていたが、その後シイナが近づいてくると、笑顔で右手を見せてきた。
小指が生えていた。
笑いながら、
「見られちゃったもので」
と首を傾げてみせた。

なんという回復力。そういう類の人間なのだ。
連絡先を交換して、店を出た。












< 19 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop