私のご主人様~ifストーリー~

琴葉side

立ち去っていった焔の背が見えなくなっても、しばらく動けなかった。

呆然と焔が去っていった道を見つめていると、背中から抱きしめられる。

「冷えるだろ。戻るぞ」

「…うん」

心配性の季龍さんに支えられ、屋敷の中に戻る。

「姐さん、大丈夫っすか?」

「姐さん!飯の支度出来てますよ!一緒に食いましょう」

「姐さーん!!!」

屋敷に戻ると、我先に飛んでくるたくさんのいかつい男たち。

似合わない光景に思わず笑ってしまう。

私に残された時間はどれだけあるんだろう。

考えても仕方ない。

私は、私の時間を精一杯、私の家族のために使っていく。

季龍さんと、一緒に。

「琴葉、行くぞ」

「はい、季龍さん」

季龍さんの手を頼りに歩き出した。
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