私のご主人様~ifストーリー~

違えた立場


「…ふぅ」

一通りきれいになった部屋を見て、額を拭う。

うん、いいんじゃないですかね?

服についた埃は縁側で払って、外の空気を肺いっぱいに吸い込んだ。

関原組の屋敷を出て、もう1ヶ月。

あの夜、私は季龍さんが運転するバイクに乗せられ、夜道を走った。

走って、走って、たどり着いた先は既視感のある日本家屋だった。ただ、中に入るなり仰天したけど…。

まさか、長年放置されていた家を買い取るとは…。

郊外と呼ばざる負えない立地のため、事務所は別に構えるのだと平沢さんは説明してくれたものの、正直人が住める状況じゃないのは明白で。

私の第一の仕事はこの屋敷を組の人が住める状況に整えることだった。

とはいえ、掃除しながら生活するだけの状況すら整えられず、1週間は近隣の民宿を使って、そこから更に3週間。ようやく基盤が見えてきた。
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