私のご主人様~ifストーリー~
共に歩む未来で

責任


琴音side

「あとは、降ろされた駅から新幹線に乗って、何とか生活してきた。焔が知る、生活になるまではちょっと 大変だったけど」

具体的な名前や地名、特定できそうな情報はなるべく伏せて話した。

焔は複雑そうな顔をして、長いため息をついた。

「バカな母ちゃん」

久しぶりに呼ばれた呼び方に、思わず笑う。

焔はムッとした顔をしながら、両膝に肘を置く。

「でも、ありがとう」

「…」

不意のお礼に思わず言葉が詰まる。

焔は机の上に広がった書類たちを見据えたまま。

「母ちゃんが俺を選んでくれなかったら、俺は産まれてこれなかったんだろ。…俺、母ちゃんの子に産まれてこれて、よかった」

「…」

「っ!!?何で泣くんだよ!!」

…ボロボロ溢れる涙に、焔は慌てふためいて、結局恥ずかしそうにそっぽを向いた。
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