求婚蜜夜~エリート御曹司は滾る愛を注ぎたい~
2 忘れられた関係


遥人からの連絡は来なかった。

よく眠れないまま月曜日の朝を迎えた結衣は、憂鬱な気持ちで家を出た。

彼に会って連絡もなしに約束を破った理由を聞きたい気持ちはある。だけど答えは結衣が望まないものだろう。

(私……ふられたんだよね)

さすがにもう分かっている。遥人はその気がなくなったから迎えに来なかったのだと。

心変わりは誰にだってあること。ただ何の言葉もなく逃げるようなやり方はいつもの彼らしくない。

だから、連絡出来ない事情が有るのかもしれないとほんの僅かな期待を消しきれず、潔く諦める決心が未だにつかない。

気持ちの重さから歩みも遅くなったが、気付けばオフィスに到着していた。

気分の悪くなるような緊張を感じながら、建築デザイン部のフロアの扉を開く。
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