未明の三日月 ~その後

「俺 今度は ズケズケと 美咲の中に踏み込むから。大丈夫だよ。美咲一人を 不安にさせないよ。」

佳宏は 美咲の気持ちに気付いていた。


美咲の目から涙が溢れる。
 

「佳宏。」


と言って美咲は、佳宏の肩に 寄り掛かる。
 

「美咲が決心できるまで、待つから。無理しなくていいからね。でも産むなら早い方がいいよ。美咲もよく考えて。」


佳宏は、優しく美咲の肩を撫でる。


「もし 私が このままがいいって言っても 佳宏 怒らない?」

美咲は 泣きながら、途切れ途切れに言う。
 

「怒る訳ないでしょう。詩帆ちゃんもいるし。美咲が嫌なら 詩帆ちゃん一人でもいいんだよ。」

佳宏は優しく言う。
 


「だって。だって 佳宏が いつか後悔するのも 嫌だもん。」

泣きじゃくる美咲に、
 

「後悔なんかしないよ。俺は 美咲がいればいいんだから。そんなに泣かないで。」



美咲を抱き締める佳宏に、美咲は 声を上げて 泣きじゃくってしまう。
 



< 58 / 90 >

この作品をシェア

pagetop