未明の三日月 ~その後

佳宏と美咲は、地方出身という ハンデを背負って 努力をしてきた。

二人の努力は 実ったから、今の 豊かな生活がある。


佳宏だけでなく 美咲も 十分な収入を 得ていたから。
 

地方で生まれて 今の生活を 築くまでの努力を思ったとき 

美咲は、せっかく 都会で生まれた子供達に もっと楽な環境を 作ってあげたいと思った。
 


「レベルの低い学校に入れると 美咲 苦労するよ。ママ友同士の マウンティングが すごいらしいから。」

佳宏は 美咲の気持ちを 全部、わかっている。
 

「そうだね。マンションの中にも 結構あるらしいよ。私 12階の 川口さんに “ 斉藤さんは仕事しているから、巻き込まれなくていいね ” って言われたよ。」


美咲も 佳宏の言葉に 同意する。
 

「何か、勘違いしている人達 たくさんいるから。起業して すこし上手くいくと 自分を何様かと思っちゃうんだろうね。」

美咲達のマンションにも そういう人達はいた。
 

「麻有子達みたいな 本物のお金持ちは 絶対 そういうことしないのにね。」

美咲が言うと、佳宏は頷いて
 


「詩帆ちゃんも幸ちゃんも ちゃんと 本質のわかる人間に なってほしいな。」

と言った。美咲は驚いて、佳宏を見る。
 

「へえ。佳宏 そんな事 思っていたの。」


美咲の言葉に、佳宏は 照れた顔をする。
 


「少しずつ、教えていこうね。そういうことも。二人とも、素直な良い子だからさ。」


と恥ずかしそうに答えた。
 
 

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