先輩、私だけに赤く染まって
今日は図書当番なのに、最悪だ。
どんな顔してまた村田くんと仕事をすればいいんだ。
『逃げるなよ』って言葉が何度も頭の中で響く。
このまま黙っていたって何も始まらないのは分かってる。
どうせあと何週間後にかは夏休みに入るんだ。
例えこっ酷く振られても、一ヶ月も顔を合わせなきゃ忘れることが出来るのかな…。
放課後、村田くんより先に図書室にいた私は大きなため息をつく。
先輩と、このカウンターで初めて話したときのことが懐かしい。
あの頃は話しただけで浮かれていたのに、今となっては次を求めて、それで結局自分で苦しんで。
私って恋愛に向いていないのかもしれない。