先輩、私だけに赤く染まって

今日は図書当番なのに、最悪だ。


どんな顔してまた村田くんと仕事をすればいいんだ。


『逃げるなよ』って言葉が何度も頭の中で響く。


このまま黙っていたって何も始まらないのは分かってる。


どうせあと何週間後にかは夏休みに入るんだ。


例えこっ酷く振られても、一ヶ月も顔を合わせなきゃ忘れることが出来るのかな…。


放課後、村田くんより先に図書室にいた私は大きなため息をつく。


先輩と、このカウンターで初めて話したときのことが懐かしい。


あの頃は話しただけで浮かれていたのに、今となっては次を求めて、それで結局自分で苦しんで。


私って恋愛に向いていないのかもしれない。


< 220 / 317 >

この作品をシェア

pagetop