先輩、私だけに赤く染まって
「俺は恋愛しちゃいけないんだ。このままそばに居たら君を壊してしまう」
壊してしまうって、何。
今先輩の目の前にいるのは私なのに。過去に囚われて、元カノと同じラインに並べられたくない!
「何をそんなに怖がってるんですか?」
私を過去の呪縛から解放してくれたのは先輩だった。
それなのに先輩はずっと一人で苦しんでいる。
「お願い、どこにも行かないで…」
一歩前に出て、そっと先輩を抱き締めた。
少しでも私の気持ちが伝わればいいと。
先輩は手をだらんと下げたまま、されるがまま。
「俺は…」
ようやく何かを話してくれる気になったのか、口を開いた。