先輩、私だけに赤く染まって

「あ、もう六時だ。閉めようか」


そう言って立ち上がった先輩は、本棚の整理をしていた一年生を呼ぶ。


一年生を先に帰らせて図書室に鍵を閉め、職員室に鍵を返す。


「ごめんね、今日はすぐ帰らなきゃいけないから送っていけないんだ」


ちょっとだけ、本当にちょっとだけ期待していたけど、先輩が申し訳なさそうに言う。


「そんな、謝らないで下さい」


「今日のお礼に何か飲み物、何がいい?」


自販機の前で先輩が財布を出す。


その好意をありがたく受け取ることにした。


「じゃあミルクティー」


頼んだそれを、ハイと手渡される。


先輩からの初めてのプレゼント。


「私これ、飲まないでとっておきたい…」


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