仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。
【陽愛 side】
家に着き、リビングに再び手を繋がれて入った。
「……座ろうか。俺、お茶淹れてくるから待ってて」
彼は私をソファーに座らせると、近くから離れようとする。だけど、私はそれを止めた。
「…陽愛……?」
彼の服の裾を引っ張ると彼は私の顔を見た。
「……行かないで………っ」
「じゃあ、隣に座るから話そうか……気が付いてるんだろ?」
“気が付いてる”
そう言われた瞬間に心臓がドクンとなったのが分かる。
「……陽愛の思ってる通り、だ。俺は、陽愛が嫌いな暴走族だ。」
何にも言葉が出て来ない。何か言いたいのに、言えない。