モノクロリバーシブル
「……春明?」

「話はあと!とりあえず、皆は外へ。潤、皆を頼んだよ」

「え、でも……」

「早く!!」

僕が叫ぶと、潤は「わ、分かった!皆、俺について来い!」と走り始めた。クラスメイトの皆は、戸惑いながらも走っていく。

「ティア、弥勒。手を出さないで……さて、どういうつもりなんだ?秋彦」

僕が声をかけると、秋彦が姿を現した。

「何でお前は、俺の邪魔をする。ただ、俺は友達が欲しいだけなんだ」

そう言って、秋彦は真っ黒な月影丸を振りかぶる。僕は、慌てて月影丸を作り出して、秋彦の攻撃を受け止めた。

「だからって、皆を連れ去ることは無い!」

「いつだってそうだ!仲良くなっても、皆は俺から離れていく!」

秋彦の蹴りが僕に直撃して、僕は吹き飛ぶ。

「寂しかった!苦しかった!何もしてないのに、普通にいただけなのに……っ、だから!自殺したのにさ!」

僕は秋彦の言葉を聞きながら、体を起こした。

「転生したら、幸せになれるって思ってたのに……気が付いたら、春明の中にいた!お前は、幸せそうに笑ってた。……苦しいよ!何で他人が幸せなところを見なくちゃいけないんだ!?」

「……」

僕は、秋彦の言葉に何も言えない。その秋彦の感情が、物の怪を引き寄せたのか……。ということは、言葉だけで物の怪を倒すことが出来る……?
< 20 / 22 >

この作品をシェア

pagetop