結婚前提で頼む~一途な御曹司の強引な求愛~
「里乃子は俺と同じようにチームに属さず、スポットでピンチヒッターに入る適性があるというのが上の見解だ。おまえはミスは多いが、視野が広い。判断も早く、何より勤勉だ。ただ、この働き方は潰れるヤツの方が多いんだ。俺の同期も後輩も何人も脱落した。だから、おまえを誰が育成するかという話になったときに俺が手を挙げた」

初めて聞く話に、別な意味で頬が熱くなってきた。胸がドキドキする。
先輩が私のために立候補してくれた。かほの言う通りだったんだ。
それに、思ったより会社の評価は悪くなかったの?

「正直に言えば、里乃子が総務から移ってきたときから気になっていた。だが、俺と同じ職種で頑張るなら、生半可な営業に仕上げるわけにはいかない。嫌われたくないと思いつつ、厳しく接することしかできなかった。里乃子にはプレッシャーだっただろう」
「いえ、私は……」

榛名先輩のことが怖いと思ってきた。今でもその気持ちは変わらない。だけど、そんな話聞かされて胸が苦しいくらい高鳴ってる。
先輩、全部全部私のためにしてくれたことだったんだ。

「俺のことが嫌だっただろう。それなのに、俺の告白を受け入れてくれてありがとう。ずっと言うつもりはなかったんだ。だけど、おまえと過ごすうちにどうしても手放したくなくなった」

どうしよう。すごく嬉しい。
落ちこぼれでできないヤツだって評価に心の奥底では苦しんできた。私はこんなものってごまかしながら、榛名先輩に怒られなければいいや、一生会社にぶら下がって生きられればいいやって公言してきた。

それなのに、一番厳しいこの人が、一番私を信じて期待してくれていた。
そして、その上で私を好きだと言ってくれている。

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