0センチの境界線



「雛?なんか調子悪い?」

「えっ、な、なんで?」




いつも通り騒がしい朝の教室。

いつもの席に座っていたわたしの前にさっそうと現れた琴音は、心配そうにわたしの顔を覗き込んだ。


琴音の席は本当はもっとずっと遠い。

わたしの何かしらの様子がおかしくて、心配して話しかけに来てくれたんだと思う。


琴音と友達になったのは、高校1年生の時。

2年生でも同じクラスで良かったね!ってつい数週間前喜んでた。




「なんでって、朝の恒例のやつないから」

「恒例?」




なんだろう。わたし何か忘れてたかな。

登校して、琴音にちゃんとおはようって言ったし、自分の席にも座った。

変なことは何にもしてない。



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