0センチの境界線



「………遅いんだけど、」



不機嫌そうな朝の飛鳥。

覚えのない難癖をつけられたわたしは、玄関先で口をポカンと広げた。




「雛ちゃんと、5号室くん?あ、そっか。今日は一緒に行くんだったね〜」



自転車登校のハシ先輩が、少し意味不明な言葉を発してから行ってきますって、手を振った。

ポカンって口を開けながらも何とか手を振り返したわたしは、すっごく偉い子だと思うんだ。



「いつまでそのあほ面してるわけ?」

「……待ってわかんない」

「は?」



わかんない。すっごくわかんない。



< 37 / 288 >

この作品をシェア

pagetop