本日、総支配人に所有されました。~甘い毒牙からは逃げられない~
中々、私の彼氏の話が収束に向かわないので食べ終わったら先に出て来た。

クリスマスかぁ…。

一颯さんとは初めてのクリスマスだけれども、まだ何の計画も立てていないし、そもそもクリスマス自体の話もしていなかった。

残り時間は自分の休憩室(以前は支配人の為の宿泊部屋だったが、現在はバトラーの私と高見沢さんの休憩室兼宿泊部屋にもなっている)に行って休もう。

とぼとぼとゆっくり歩いていたら、一颯さんからメッセージアプリが入って、今から休憩室に向かうとあった。

「お疲れ様です、一颯さん、星野さんから逃げ出して来たの?」

「………っるさい、アイツが余計な事を言うから、三枝さんに恵里奈の彼氏について根掘り葉掘り聞かれて用事があるフリして出て来た。おかげで昼食を食べ損なった!」

「夜食用に入れといた冷凍パスタならありますよ?食べますか?」

「あぁ、食べる。半分こするか?」

「私は昼食を頂いたので大丈夫ですよ」

部屋でくつろいでいると後から来た一颯さんは酷く疲れてそうに見えた。冷凍パスタをレンジで温め中にクリスマスについて尋ねると…

「クリスマスイブと当日は大切なお客様が来るんだ。すまない…。夜も無理そうだ。埋め合わせはきっとする」

と言われてしまった。拍子抜けしてしまった。てっきり、夜は一緒に過ごせるものかと思っていたから。サービス業なんだから、お客様第一に考えなきゃいけないのに…目頭に涙が滲む。

「そ、そうですよね。クリスマス時期は混みますから夜遅くなるのも仕方ないです」

涙が目から零れないように必死で堪える。私はいつから、こんなに弱くなったのだろう?恋に溺れている自分が情けなくさえ感じる。

一颯さんにも依存し過ぎている。もしも…一颯さんが私から離れてしまった時、私は立ち直れるのかな?
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