本日、総支配人に所有されました。~甘い毒牙からは逃げられない~
サービス業だから、お客様の予約状況次第で公休が変更になる事もある。連休だってなかなか取れない。一颯さんとも同じ公休日とは限らないし、上がり時間もまちまちだから仕事終わりには会えなくなるかもしれない。

やっと一緒に過ごせたのに、また一颯さんと過ごす時間はお預けになりそうだ。

「……明日は何時出勤ですか?」

「8時位には行くつもりだけど…」

「明日は帰って来たばかりだから10時に出勤していいよって星野さんに言われました。今日も泊まっても良いですか?」

「……駄目だ。もう遅い時間だし、帰って寝なさい!」

頑なに拒否をされた。明日は星野さんの仕事のお手伝いから始まるので10時出勤なのに、一颯さんは保護者みたいに言い付けた。

これから先、忙しくて中々会えないなら、尚更、今を大切にしたいのに……。

一颯さんも仕事が忙しいのだから、これ以上は我儘は言わないって決めているけれど、もっと沢山独占したい。一緒に眠りについて、一緒に起きたい。心の中ではそう思っていても、言葉には出さない。我慢しなきゃ、と思いながら、外の景色を眺めて居たら眠ってしまった。

「……恵里奈、起きて!」

一颯さんに起こされた時は寮周辺に着いていた。目が覚めた時にはほろ酔い気分も覚めてしまった。
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