仮面花嫁~極上社長は偽り妻を乱したい~
◇◇◇◇◇
フライパンを揺すりながら調味料を加えていく。醤油を手にしたつもりがソースで、あやうく味付けを間違えるところだった。
それもこれも自分の心の変化に気づいたせい。優莉にとっての隼が〝社長〟から〝好きな人〟に変貌を遂げ、心ここにあらずだからだ。
片栗粉を溶かしてフライパンに入れ、とろみをつけていたときだった。
「ただいま」
今まさに優莉の心と頭の中を占めていた隼が帰り、驚いた弾みでフライ返しから熱々のタレが優莉の左手に派手に跳ねた。
「――熱っ」
「大丈夫か?」
カバンを置いてキッチンに入ってきた隼が、素早く優莉の手を取る。
「冷やした方がいい」
「このくらい平気です」
手を引き抜こうとしたが、隼に強く掴まれて勢いよく出した水にさらされた。