今日、魔法使いに飼われました
朝早く起きて着替え、お弁当と朝ご飯を作って、大学に行って授業を受ける。友達と遊んでサークル活動に参加して、飲食店でのアルバイトをする。それが、榎木美砂(えのきみさ)の毎日だった。

今までは着る機会のなかったレースのついた洋服を着て、美砂は今ティータイムを楽しんでいる。そして、ごく普通の毎日は簡単になくなるんだなと思いながらミルクティーに口をつけた。

「美砂、おいしい?今日のおやつはマドレーヌだよ」

白い髪に黒いローブを着た男性が微笑む。美砂が「はい」と頷くと、「可愛いな〜」と言って抱き締めてきた。

「美砂〜。ティータイムが終わったら一緒にお昼寝しよ〜」

黒い髪に青い目の男性が言う。美砂は「わかりました」と答えた。この生活が始まって早一ヶ月。あっという間にこの生活に慣れてしまった。

「フフッ。可愛い俺たちのペット」

二人が優しく美砂の頭を撫でる。美砂は二人の体温に目を細めた。



始まりは、一ヶ月前のある朝だった。美砂は大慌てでマンションを飛び出す。

「やばい!完全に寝坊した!!」
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