俺様社長と<期間限定>婚前同居～極上御曹司から溺愛を頂戴しました～

　横を見ると貴士さんが口元に手の甲を当て、笑いをこらえていた。目元にしわをよせながら、こちらに流し目を向ける。

　そのちょっと意地悪な表情を見て、心臓が飛び跳ねた。

　米沢さんの説明をまったく理解できなかったのが、貴士さんにはバレバレだったらしい。

　そのとき玄関の方から男の人の声がした。さっきまでいた業者さんが、なにか書類を渡し忘れたようだ。

「悪い、ちょっと行ってくる」

　声に気付いた貴士さんは私に断って立ち上がる。その後ろ姿を見送ってから、画面の中の米沢さんに向き直った。

「なんだか、ご迷惑をかけてしまったみたいで、すみません」
『ご迷惑、ですか？』
「私が一ヶ月間の同居に同意してしまったせいで、きっと貴士さんの会社のみなさんは対応に追われて大変ですよね」

　私が頭を下げると、米沢さんは首を横に振って微笑む。