荒野を行くマーマン
「なんか…すごく嫌な感じ」


しばし無言で私を見つめていた佐々木さんはポツリと呟いた。


「『私はそんなつもり全然ないのに、あっちが強引に誘ってくるから仕方なく』ってことかしら?『自分の気持ちがまだどうなるか分からないから、お試しに一緒に出かけている』っていうほうがよっぽど清々しいわ」


その心底憎々しげな口調に圧倒されてしまい、私は何も言えずに立ち尽くす。


「あなた、告白されたんですよ?その気がないなら、絶対に友達以上に発展する可能性がないっていうなら、二人きりの食事はキッチリ断ったらどうですか。思わせぶりなことをしておいて「そんなつもりじゃなかった」って、すっごく嫌な女ですよ」

「え…えっと…」

「とにかく」


考えがまとまらないまま思わず発してしまった私の言葉を押さえ込むようにして遮ると、佐々木さんは話の締めに入った。


「彼に思いを寄せている女性がいるという事が分かったんですから、これからはきちんと断って下さいね。もう言い訳はできませんからね」


そう主張し、さっさと踵を返すと、佐々木さんは階上に向かって去って行った。



…告白された相手と、その後友人として付き合いを続けていくのはダメなんだ。

思わせぶりな態度になっちゃうんだ。

何しろ今までの人生、男性と付き合った事なんてなかったから分からなかった。

これからは気をつけなくちゃ…。


考えを巡らせながら私もその場から歩き出す。
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