拝啓、先生あの日の約束は有効ですか?
授業が終わり、誰もいない教室には夕日が差込んでいた。
「…先生、今どこにいるの……かな」
いつもファイルに挟んである“手紙”を取り出し、
《藤田 彩愛様》
そう綺麗な字で書かれた文字をなぞる。裏の差出人の名前を見て…すごく切ないような、悲しさで一杯になった。
……千秋……っ
『必ず…必ず、彩愛を迎えに行くよ。絶対に。迎えに行く。だから、待っててくれたらうれしい』
待ってるよ、ずっと…。
だけど、約束を覚えているのは私だけだろうか…。
「藤田先生…?大丈夫ですか?」
「えっ…あ、ごめんなさい!」
同じ国語科の先生に声をかけられていたらしく…心配をされてしまった。
「…体調が悪いんじゃないですか?顔色悪いですよ」
「だ、大丈夫です…ありがとうございます」
…私、やっぱり忘れられないよ。