蓮華草
聞こえるはずのない声が私の耳に届いた瞬間、何かに強く抱き寄せられた。
あぁ、なんて懐かしい体温なんだろう。
とたんに涙がこぼれ落ちていく。

「は、る。春っ」
「美蓮、会いたかったっ」

抱きしめてくる腕に力が篭もる。
けれどもその息苦しささえも愛おしくて
涙が止まらない。
なんでこんな所にいるの、なんて聞く暇もなしにお互いに思いっきり抱きしめあう。
なんて幸せなんだろう。

「春、愛してる」

きっと、ううん。これが、これこそが。
"私の幸福"
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