ByeBye
epilogue




「…っん、樹……っ」



押し寄せる罪悪感と快楽。夢中で彼女を求めたあの日。




「っ、俺…────」




───“有那が好きだ”


しまった、と思った。決して言葉に出してはいけない気持ち。

幸い彼女には届いてなかったけれど、あの時は本当に苦しくて、有那が他のだれかのものになるくらいなら死んだほうがましだとすら思った。





だけど、今は違う。







「…樹…っ、」

「有那…、」





消そうと思えば思うほど、大きくなっていった彼女の存在。

頬を上気させて、目に涙を溜めて、甘い声を上げる、何よりも愛おしい彼女。




俺だけのモノであってほしいと、何度も願った。
手に入らないのが苦しい。自分の嘘で、たくさん傷つけてしまった。

俺の未来に彼女はいないんだって思っていた。
これから先、きっと俺のこの気持ちが彼女に届くことはないんだって、思ってた。




だけどようやく、彼女の目を見て伝えられる。



もう隠さなくていい。






「…すっげえ好き」



そういえば、「…私も、」と照れくさそうに目線を逸らしながら呟く。

幸せそうな顔をして俺の隣にいるのは、親友でもセフレでもない。











それは、紛れもなく俺の"彼女"だった。


end
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