ByeBye
5





あの日から何日たっただろう。


私はいつまで経っても彼の温もりを忘れられずにいた。仏の顔も3度までという言葉がよく似合うな、と、一人で嘲笑する。1回目は3年前のキス。2回目は、初めてを捧げた日。

そして3回目は、つい先日の…別れの日。




私と彼の関係は、こうも呆気なく終わってしまった。“親友”という言葉に隠れることももうない。バレバレの恋心を抱いて彼に会い、彼のために涙を流すことももうないのだ。




これで良かった。私はもう過去を忘れて、前を向いて生きるしか選択肢がない。

必死に自分にそう言い聞かせ、私はようやく普通と呼ばれる日々を徐々に取り戻していた。







────そんな今日は土曜日。



大学もはなく、バイトも珍しく入れていなかった私は、久しぶりに一人で街に出ていた。



本当は彩羽と遊びたかったのだが、昨晩連絡を入れたら、午後から予定が入っていて会えないとのことだったので仕方なく一人なのだ。

映画でも見て、その後どこかでご飯を食べて、ショッピングでもしようかと、そんなことを考えて駅の改札を抜けたとき。



ポケットに入れていたスマホが音を立てた。ディスプレイには“彩羽”の文字。





「…も、」

「あ、有那?今どこにいる?」



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