無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
高瀬と繋がった手のせいで、緊張はますます高まっていくばかり。
内心焦りながら、会話を続けた。
そして十分ぐらい経ったとき、痺れをきらした高瀬の声が響く。
「もうそろそろいいでしょ。たまちゃん、俺の部屋行こ」
「環ちゃん、ゆっくり寛いでね〜! あと李音ちゃんをよろしくお願いします」
「は、はい、ありがとうございます。失礼します」
「や〜ん、ほんといい子〜! お嫁にきてくれないかしら!」
「おいおい母さん、気が早いよ」
「うふふ」
お、お嫁?
高瀬のいろいろぶっ飛んだところって、実はお母さん似だったり……?
後ろで繰り広げられる会話を聞きながら、わたしたちはリビングをあとにした。
高瀬の部屋は意外ときれいで、丸テーブルのそばのソファにちょこんと腰を下ろした。
というよりも、座らされた。
緊張しすぎて落ち着かない。
「た、高瀬、手……」
「あー、うん」
「うんじゃなくてさ……恥ずかしいよ。なんで手なんて握ってきたの?」
「だって全然こっち見てくれないから」
「へ?」
「せっかく一緒にいるのに俺のこと見てくれないから、ついイジワルしたくなったんだよ」
どういう理屈……?
でもでも、なんだかこれってカップルみたいな会話じゃない……?
「ね、ねぇ、高瀬ってわたしのこと……」
「さ、勉強しよっか」
「え?」
「補習になったらやばいんでしょ?」