無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
翌日の放課後、美保に昨日の電話の内容を話したら、ものすごい勢いで食いついてきた。
「きゃあ〜、それでそれで?」
「今日このあと遅くまで勉強することになった」
廊下の隅で騒ぐわたしたちを、みんなが不審な目で見てる。
「へぇ、環の家でねぇ。ふ〜ん? それって、ちゃんと勉強になるのかな〜?」
美保には高瀬と両想いだったくだりをきちんと報告してある。
だからまぁ、この反応。
「なるよ〜!」
「環はそう思ってても、相手は高瀬くんといえど男の子なんだよ?」
「え、うん? そうだね」
「いやいや! 意味わかってないでしょ?」
「意味? わかってるよ? 高瀬は男の子でしょ。っていうか、そんな当たり前のこと言わないでよ」
なに言ってるのって笑い飛ばしたら、美保に呆れ顔を向けられた。
「なにもわかってないね……まぁ、そこがかわいくもあるんだけどね?」
「え? なに言ってるの?」
「んー……。こっちの話。それより今日はがんばって自分の身を守るのよ? 付き合ってすぐにあれこれ許したらダメなんだからね?」
「うん?」
「う、伝わってない虚しさよ……。それが環よね」
美保の言葉もそこそこに、高瀬からのお呼び出し。
スマホが鳴って飛びついた。
「まぁ、がんばってね。どうなろうとあたしは環の味方だから」
「ありがと、美保。じゃあまたね!」