(短編)初恋オムライス
橋本さんは感心したように言う。


あっくんは進学校に推薦で入ったくらいの秀才らしい。


おまけにハッとするほどの美青年だし。


神様って二物も三物も与えるとこには与えるんだな。


そういう意味でも、あっくんはなんだか遠い存在に感じる。


「あっくん、くるみちゃんのことを頼んだわよ。じゃあね、くるみちゃん頑張ってね」


橋本さんは、私の肩をポンポンと叩いて厨房に戻って行った。


「くるみちゃん」


「は、はい」


どうしよう、接客なんて本当に全然自信がないよ。


緊張して声が裏返ってしまった。顔もこわばっているのが自分でもわかる。


そんな私を見て彼は困ったように笑う。


「えらい緊張してるね。そんなに難しく考えなくても大丈夫だよ。うちに来るお客さんは常連さんも多いしいい人ばかりだから」


「で、でも」

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