(短編)初恋オムライス
ひー、なんて質問してるの?私、テンパりすぎ。


「え?好きっていや、俺は制服は別に。中身の方がいいかな」


だけど、意外な彼の反応に、ますます慌ててしまう。


「ええっ?」


「ごめん。ああ、もうっ、俺なに言ってんだろ。
なんか、2人きりだと緊張して」


ハハッと力なく笑う彼は口に手をあてて、少し照れているみたい。


あっくんみたいな人が、私なんかと2人きりで歩くだけで緊張したりするんだ。


どうしよう、そんなことを言われたら、こっちまで緊張してきちゃうよ。


「実は明日から俺、大学受験が終わるまでバイトの休みを貰ったんだ。もう11月だし。受験生だからね」


前を向いたまま話す彼はとても真剣な表情で、さっきとはまた違った緊張感に包まれた。


「え、そ、そうなんだ」
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