後輩くんはワンコ時々オオカミ


「おいっ」


ベンチでお弁当を食べ始めた涼太と私の前に
またも不機嫌さを出す飯田が立った


「どうしたの?」


「なんで此処に二人で居るんだよ」


「あ〜、えっと、なんていうか」


どう説明して良いのか
考えを巡らせていると


「なにか問題でもありますか?」


涼太はいたって普通の返事をした


「問題あるに決まってるだろ
此処はランチタイムはカップル専用だ」


あーっ、言っちゃったよ
後で説明しようと思っていたのに・・・

棚上げしたことを後悔し始めた時


「知ってますよ」


涼太は笑ってるのに妙に棘のある返事をした


「え?涼太、知ってたの?」


「はい、知ってますよ
もう入学して一ヶ月も経ってるし
そもそも桐葉の生徒なら皆んな知ってますよ」


「・・・っ」


知ってて此処に連れられて来たことで
申し訳ない気持ちが湧いてくる


「ごめんね、涼太
知らないかと思って今日だけのつもりだったけど・・・
今からでも向こうのベンチに座り直す?」


「え?眞子先輩何言ってるんですか?
俺は眞子先輩と座りたくて態々此処に連れてきたんですから」


「・・・?」


えっと・・・

頭の中が混乱してきた


それに追い討ちをかけるように


「雨宮、いいのかよっ
新入生なんかと食べてたら
変な噂が立つぞ」


飯田まで意味不明のことを言い始めて

キャパオーバーしたのか

涼太と飯田を交互に見ながら固まった




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