後輩くんはワンコ時々オオカミ



「眞子先輩のことを笑顔にしたいって
俺だってずーーーっと昔から思ってます!
俺が先に告白したのにぃ」



そう言って頬を膨らませる涼太は
やっぱり可愛いワンコで


手を伸ばして頭を撫でた


「涼太可愛い」


みるみるうちに真っ赤になった涼太


「眞子先輩!反則ですっ」


頭の上に乗せた私の手を引くと
強引に腕の中に閉じ込めた


「キャッ」


腕に力が入って
涼太と私に隙間がないくらい
ギュウと抱きしめられる


「眞子先輩、めちゃくちゃ好きです」


「・・・っ」


これは私も『好き』と返すのが正解だろうか?

苦しい程強く打つ鼓動の所為で
涼太に身を任せるので精一杯

それに・・・


此処は駅前広場


・・・恥ずかしい


自分の置かれた状況に身悶えそう


「・・・・・・涼太」


「・・・はい?」


「恥ずかしいから離して」


小声で囁くように言えば


「あ、ごめんなさい」


涼太はパッと離れた


見えた涼太の顔は真っ赤で
もちろん私も同じに違いない


ドキドキする胸に手を当てて
落ち着かせるようにトントンと押さえる


そんな私に

「眞子先輩」と名前を呼んだ涼太は


ベンチから立ち上がって正面に跪いた


「・・・っ」


イキナリのことに驚いていると

サッと私の手を取った涼太は


「眞子先輩、俺の彼女になってくれませんか?」


といつものように笑った







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