エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
私の肩に顔を埋め、やるせない声をあげる。責められるどころか、心配されてしまうなんて……。

「なんで、信じてくれないんですか……」

「お前はそんな人間じゃないだろう」

より強く抱きしめながら、揺るぎない声で言う。

悲しくて、その反面嬉しくて、なんだか泣きたくなってくる。

「別れてください」

「納得できる理由を聞かせろ」

理由を話せたら、どんなに早いだろう。『美沙さんのお腹の中に、透佳くんの子どもがいます』……即座に納得してくれるはずだ。

でも、私の口からは言えない。

「言えません。でも、いずれわかります」

近いうちに美沙さんは、お腹の子の存在を透佳くんに明かすだろう。

なぜ私が沢渡先生とふたりでいたのか、どうして別れようとするのか、すべてを知ることになる。

しかし、そんなことを知らない透佳くんには、理解してというほうが無理な話。

私を見つめるその眼差しは、変わらず信頼感に満ちていた。

「なら、わかるまで諦めない」

ふうと短く息をつく。頑ななところは彼らしい。

「……少し、距離を置かせてください。今日は、別々の部屋で寝たいです」

私の提案に、嫌な顔をした彼だったけれど、仕方がないと肩を落とした。
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