陽点  心の中の太陽

私よりも 帰宅が早い栄二。



栄二が 帰ってすぐ 入浴できるように

私は 出勤前に お風呂のお湯はりを タイマーセットしていく。


私が 家に着く頃 栄二は お風呂から 上がってくる。



すぐに ビールを 飲み始めるから

私は 簡単なおつまみを 用意して 夕食を 準備する。


子供達に 声をかけて 夕食を 食べ始めるのは 7時半頃。



まだ ビールを 飲み続けている栄二は


その日の気分で 子供達に 優しく話したり 文句を言ったり。




美由紀も直哉も 小さな頃から

『パパ 帰ってくるよ。』

と言うと 顔色を変えて おもちゃを 片付けた。



今でも 子供たちは 栄二を 逆撫でしないように。


作り笑顔で 無邪気を 装う。



子供達だって 機嫌が悪いことも あるだろうに。



自分を 抑えてでも 栄二の機嫌を 優先する。


私も 明るく冗談を言う。


子供達を 不憫だと思いながら。



9時頃になると 栄二は 寝るから。

みんな 一時間半の辛抱だって 自分に 言い聞かせて。



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