陽点  心の中の太陽
13

昼休み スマホを開いて 賃貸サイトを見ていると

「シノちゃん 決心したの?」

と神山さんが 驚いた顔で 聞いた。


「うん。本当は 子供達が 20才になるまでは 我慢しようと 思っていたんだけど。」

私は 昨夜の出来事を 簡単に話した。


神山さんには 以前から 栄二の愚痴を 聞いてもらっていたから。


「もういいよ。シノちゃんは よくやったよ。美由紀ちゃん達だって わかっているでしょう。」

夫婦円満で 穏やかなご主人を持つ 神山さん。

多分 私の気持ちは 理解できないだろうけど。


でも 神山さんも ご主人の両親と同居して 苦労している。



種類は違っても 家で 我慢することも 多いだろう。



「私の同級生で、シノちゃんみたいに 旦那さんと別れたいのに 決心できない子がいてね。子供が就職するまで、とか言っていたのよ。そうしたら その旦那さん 去年 倒れて。半身不随になっちゃって。もう 置いていけないじゃない。その子 介護しているわ。」


私は 神山さんの話しを 他人事ではないと思った。



タイミングって すごく大切。


決め時を 逃したら 一生 抜けられない。




今しかないと 私は 強く思っていた。



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