竜王様、ごはんの時間です!~グータラOLが転生したら、最強料理人!?~
24・ライラの決意
24・ライラの決意
 静まり返った城内に足音が響かないよう、靴を脱いで走りました。
 厨房から逃げるって、裏口から外に出るということかな。小さな話し声さえも命取りになるので、質問すら今は禁止。ただただ無言でマゼンタの後について厨房に急ぎました。
 いつもしっかりしているマゼンタだけど、今日はよりいっそう頼もしく見えます。
 でも、私を逃したと竜王様たちに知れてしまったら、マゼンタの職……いや、生活すら危なくなるんじゃ……? こんな優しいマゼンタの未来を奪うくらいなら、私が捕まったままの方がいいんじゃないでしょうか。どうせ転生者。そして敵国人。
「マ……」
「さ、早く」
 声をかけようとしたところで厨房に着いてしまったので、静かに開かれた扉の中に吸い込まれるように身をすべり込ませました。

「ここなら安全よ。小さい声でなら話しても大丈夫よ」
「……!」
 マゼンタが、持っていた蝋燭をそっとテーブルに置いたんだけど、びっくりしたのは厨房の中の様子。
「なんでみなさんがいるの!?」
 厨房にはトープさん以下、いつものメイドさんたちが勢揃いしているじゃないですか!
 これ、実はドッキリだったとか?
 竜王様の『脱走ドッキリ』。で、バレて、逃げる気満々じゃねーか(怒)って。
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